インヘルノ・シェアワールド

シェアワールドというものがある。同一の世界観をもとに、そこで複数人が創作を行うことだ。
そこまで仰々しいものではないけれど、Twitter上でやるというので私も参加することにした。

きっかけはこれ。

日日日 @HiHiHiakira
たくさんのラノベ作家さんで異世界ファンタジーで戦略ゲーム風群雄割拠なシェアワールドできないかなあとずっと思ってるのだけど、他人のキャラを勝手に殺して追放される未来しか見えないので心に秘めなくては…。


日日日さんは思いつきで書き込んだ感じだろうけれど、意外に反応があった。そしてひとつのTwitterアカウントを参加者でシェアして、物語を書き込んでいく形として始まった。
ちなみに何人参加しているのか、誰がいるのかはよくわかってない。
でもたぶん大丈夫。そういうものだ。

だが、スタート時点で私はなぜかラブコメ王(L王国)国を任されていた。なぜだ……。

基本的なルールというか進行はこんな感じ。
・参加者が各国でキャラクターを動かしてアクションを起こす。
・アクションが重なると、1日とか2日とかそれくらいおきに神様(たぶん日日日さん)がジャッジする。
・ジャッジによって人口が増えたり、キャラクターが死んだりする。
・とはいえキャラクターは好き勝手死んだり生き返ったりする。
・新キャラごとに人口が100人くらい増える。気分で。
・コメントアウトをしてもいいが、しなくてもいい。伏線を拾われたければ明記する。


L王国は現在、国王と軍師(銀髪三つ編みメガネ)がイチャイチャしているだけだけど、一撃死ありの鍋パーティーが始まったり大変なことになってる。

もし興味があればご覧頂ければ。「作家の悪ノリってこういうもんか」というのがよくわかる。

インヘルノ・シェアワールド
https://twitter.com/#!/jigokuhakokoda
※こちらのアカウントにリプライか、ハッシュタグ「#インヘルノ」でコメントを入れてもらえると、コメントが物語に生きてくると思われます。悪ノリが過ぎると読み手も登場してしまうかも(ただしどのような末路を迎えるかはわからない)。


オススメ「ヤバい経済学」(DVD)

 これは書籍版のファンだった私が、DVDを見つけて「ほほう、これはこれは。あの内容をどう映画化したのかね」と思ったので観ることにしたのである。
 と思ったら私が読んでいたのは「ヤバい社会学」のほうだった。探してみたら「ヤバい統計学」もあった。どういうことなの……。
 ちなみに「社会学」のほうのあらすじを抜粋すると、

アメリカ最悪のゲットーの一つ、シカゴのロバート・テイラー・ホームズで、ヴェンカテッシュはギャング・リーダー、ヤクの売人、ヤク中、ホームレス、売春婦、ポン引き、活動家、警官、自治会長、役人たちと知り合う。貧困の連鎖、麻薬の蔓延、相次ぐ発砲・暴力事件のなか、警察も救急車も来ないスラムで、ヴェンカテッシュは、ギャングと住民は複雑に絡み合って共生していることを知る。 ゲットーに生まれ、大学を出て就職しながらギャング・リーダーとしてゲットーに戻って来たJTと、中流家庭出身で、怖いもの知らずの社会学者ヴェンカテッシュの間の不思議な友情を描いた話題の書。

 となる。ね、面白そうでしょう? どんな映画になったのか気になるでしょう?

 でもまあ違った。だけれど面白かったので許す。

 さて今回は「経済学」である。社会学が、人間の作る社会の成り立ちを明らかにする学問である一方、経済学は「数字」を元に物事の因果関係を明らかにする学問である。
 こう書くと堅苦しく見えるが、実際の内容は「高校1年生を買収することで彼らの成績を向上させられるか?」「中絶の効果とは?」といったものである。問題は常に卑近であり、興味深く観ていける。
 これらはデータを元に、倫理的な是非は一切考えず事実のみを検証している。

 毎回経済学者の語り口で各テーマが論じられているのがよい。私は「インサイドジョブ」を観たときにも感じたが、経済学的なテーマは、映像化するときわめてわかりやすくなる。日本人のどれだけが「リーマンショック」の元となったCDSやモーゲージローンのことを知っているかはわからないが、少なくとも「インサイドジョブ」を観れば(あとお金の流れについて興味さえあれば)、理解できる。どんどんこういう映画が増えたらいいのにな、というのは余談ではあるが。

 さて「ヤバい経済学」で印象的だったテーマがふたつある。
 ひとつは「腐敗」だ。このテーマで取り上げているのは、なんと「相撲八百長」である。この事件を積極的に扱った週刊ポストや武田頼政氏も登場し、外国から見た八百長事件を知ることができる。「純粋」「神聖」の象徴であった日本の国技「相撲」で、どのような「腐敗」が進行していたのか。

 もうひとつの印象的だったテーマが「名付け」である。これはあくまでもアメリカのケースではあるのだが、登場する学者たちの誰しもがこう断言している。
「特殊な名付け、平凡な名付け、それらによって本人の人生は左右されない」
 まあそもそもアメリカにもキラキラネーム的なものがあるということに私は驚いたのだけれど、それはともかく、名前が本人を支配することはないというのである。
 これには裏付けが行われており、裏付けがあるからこそ見えてくる事実がある。問題の所在は実は名前の性質にはないのである。
「そのような名付けを行ってしまう、両親の環境に問題がある」
 とのことで。なるほど、と唸ってしまうテーマである。興味のある方は是非とも観るか、読むかしていただきたい。


オススメ「ドストエフスキーとの59の旅」

 ドストエフスキーの「罪と罰」がいかなる小説であるか、内容をざっくりご存じの方は多かろう。ロシア文学ではトルストイと並んで憶えておくべき「文学史」として学生の前に現れる。だけれど、実際に手にとって最後まで読む学生はどれくらいいるのか?
 この本は「罪と罰」の翻訳者が、ドストエフスキーとの関わりにおいてどのような思考を巡らせ、人生を重ね合わせ、人生を狂わされたか、それを59の短い記事によって構成している。59の「旅」それぞれに著者の人生の1ページが刻まれている。大学生で安保闘争に直面したときのこと、幼き日の読書癖、近年になってプーチン元ロシア大統領からメダルを拝領したこと、などなど。
 浅学ながら高校大学とロシア語を学んでいた私は、ロシア文学と呼ばれる本をいくつか読んだ。だが「罪と罰」と「戦争と平和」は半分くらいで投げてしまった。投げてしまったことには理由があって、私にはキリスト教に対する知識が圧倒的に欠如していたのである(ロシアは「ロシア正教会」などのキリスト正教会信者が多数である。当然、小説にもその知識を前提とした内容が盛り込まれてくる)。
 そんな私が、この本はのめり込むようにして読んだ。誤解を恐れずに言うならドストエフスキーも、「罪と罰」も知らなくとも楽しめるのである。

 さて、ここでひとつのことを書き留めておきたい。「読書とは教養が深まればなおのこと面白くなる」ということだ。昔読んで(あるいは読まされて)つまらなかった「文学」も、年を取って再読するとこれが面白いのである。スルスルと読めてしまう上に、面白い、味わい深い。
 なぜかと言えば読書とは能動性を必要とするからだ。文字を「読み」、「空想する」のは自発的な行為である。つまりパワーが要る。
 ただこのパワーも、年を取って人生経験や知識を肥やしていくことでかなり必要がなくなる。「ああ、わかるわかる」「それってこうこうだよね」と、かつては「はあ?」「なにそれ」だった部分が簡単に見えるようになる。
 是非とも、過去に読んで意味不明だった文学を、年を取ったらもう一度手にとっていただきたい。

 話がそれた。私はこの本を通じて、「読書は教養」ということを再確認した。ロシア文化のみならず広く世界を歩き、知識を蓄えた著者の慧眼はべらぼうに面白い。そして考えてみる。「罪と罰」がなぜここまで評価されているのか――ドストエフスキーの死後、100年以上を過ぎてもなお日本の中高生が暗記しなければいけない名前として挙がっているのか。これは「罪と罰」が圧倒的に面白い小説であり、また教養があればあるほどさらにすごみを増す小説だからである。
 著者とともに、時を超え、空間を超え、「罪と罰」に始まり様々な小説や思想、人生経験を経巡り「罪と罰」に帰っていく59の旅。実にワクワクする読書体験をさせてもらった。


今年の抱負2012

 末尾に年号の2012をつけると一気にダサくなる法則発動。
 というわけで新年が明け、気持ちも新たに活動していきたいと思う。去年と同様、懲りずに今年も抱負などを掲げてみよう。

 ・年間4冊
 これは控えめというわけでもなく、現実的な数字ではないか。体調を崩さず、なるべく多くの作品を上梓することを考えればこのくらいがいいのではないかと考える。

 ・新シリーズ立ち上げ
 去年も抱負のひとつとして数えていたが、今年も。ライトノベル作家はともすると同じシリーズを延々書き続けることになる(書き続けられるということは売れているということとほぼ同義なのでそれはそれでいいことなのだけれど)。しかし新しいことにも挑戦したいというのが人のサガ。新シリーズをちゃんと立ち上げたい。

 ・医者にかかる回数を減らす
 日本の社会保障費を削減するためにも。

 ・ブログの定期的な更新
 去年は自由にトピックを定めて私の感じることをつらつらつらつら書き続けた一年だったけれど、今年は趣向を変えるつもりだ。ずばり、「おすすめしたい本・映画」。コンテンツ産業に携わっている人間として、作り手としてだけではなく伝道師として布教活動もすべきではないかと考えた。年間にそこそこ本とDVDを堪能しているので、中でも面白かったものを新旧問わず書いていけたら。書くことによって私自身が新事実を見つけられるかもしれない。
 こちらについては、とにかく「おすすめ」できるものしか載せない。「おすすめ」と言いながら辛辣な批評を加える感想サイトもたまにあるが、私は「おすすめ」しかしないつもりなので、安心してご覧いただきたい。ネタバレもしない予定。


 とまあ、抱負はこんなところで。
 どだい無理な抱負や努力目標は、私は好きではない。言ったからには達成する「有言実行」型であるべきだと思う。

 今年一年、よろしくお願いいたします。


今年一年ありがとうございました。

作家となってからかれこれ五年。一度として同じような年はなかったにせよ、今年ほど忙しかった年もなかったように思います。

ですが、「忙しい」ということは、裏を返せばそれだけ「充実していた」ということ。

よい一年であったと思います。


来年に向けて、新しいことをしようとまたいろいろと動いております。

なるべく早くに、皆様にご披露できるよう、がんばってまいります。


今年一年、皆様ありがとうございました。
来年もまた、よろしくお願い申し上げます。



なんか……堅苦しいな−!
いつだって思うことは「まだまだだなァ」って感じなので、来年はさらに面白い「物語」をお届けします!!
これは、ほんともー、絶対。
がんばります!


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