<< 参考文献について | main | 【Web小説】竜殺しと竜喰い3 第4章1 >>

後悔すべきこと

 悔いることの多い人生であった。
 ナイーブだった幼少期は言うに及ばず、高校も男子校だったせいで女性との距離の取り方もうまくなかった十代。大学では新たな出会いもほぼなくバイトばかりしていた。初めて入った会社では「どうせ俺小説家になるし」とうそぶいて温い仕事を選んでいた。会社のやり方が気にくわないと「辞める」と言い出し知人のつてをたよってフリーライターとは名ばかりのニート生活。その後訪れた不幸によって私はまっとうな道へと引き戻されるのだから、人生とはわからないものだ。
 今の会社に入るまでの私の生き様は、はっきり言えばクソだ。現在の生活においても後悔することは多いが、それまでに比べればはるかにマシと言える。作家になってからの私しか知らない人は、それ以前の痛々しい私を知らない。黒歴史ってやつかもしれないが、それはさておき。

 私は後悔することにかけては人より数段根に持つタイプだった。ぐちぐちぐちと悩み。夜寝る前に「あー……なんであんなことしたんだよ俺……」と悔やむこと一週間は固かった。
 今ではそういったナイーブな自分とうまくつきあえるようになったおかげで一週間も悩まずに済んでいる。だけれど後悔していた時間が無駄だったとも思わない。ひとつ学べば、賢くなる。私は何度も過ちを反芻し、脳裏に教訓を叩き込んでいたのだろう。

 私の精神的な転換が小説家デビューであったことは疑いない(と今では思う)のだが、直接的な原因は「俺がやらなきゃ本が出ない」と追い込まれたことだったように思う。小説を上梓することはエキサイティングな体験であり喜びも多いのだがツライ面ももちろんいっぱいある。数多の「ツライ面」が降りかかってきても、逃げ出さなかったのは、ひとえに私がナイーブだったからだ。ナイーブに起因する奇妙な責任感が「と、と、とにかくやらなきゃ……」となって自分を突き動かし、なんとかかんとか本を出し続けた。
 結局のところ自分を大きく変えたのは「仕事」なのだろう。子どもは環境や人によって大きく変わるけれど、大人になると環境や仕事ではなかなか変わらない。自発的に学び、自分で選択し、自力で達成するからこそ変わっていく。

 人によってその「変化」を与えてくれるものは異なる。仕事がつらいのは「その仕事が合わない」だけであり「他の仕事は天職」であることは十分考えられるのである。だから私の「後悔」に共感できる部分があり、今もってなお後悔にさいなまされている方がいるのなら、私は言ってあげたいと思う。
 後悔の負のスパイラルにはまり込まなくなる日は来る。でもそれは「やってくる」ものじゃなくて「自分でつかむ」ものだ。そしてそのために必要なのは「あなたに合う仕事」なのだ――と。
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